運動の内部モデルとは

脳の解剖と機能について紹介します。

運動の内部モデルとは

運動の内部モデル

内部モデル:外界の仕組みを脳の内部で模倣・シュミレーションする神経機構である。

人や動物は、複雑な筋骨格系で構成される身体を、速く正確に制御することができます。

これは、脳の機能として、運動司令と身体の動きの関係を予測・制御する機構が存在し、運動を実行する前に結果を予測したり、ある課題を達成するために必要な運動司令を予測することができるからであると考えられています。

これを内部モデルといい、小脳が司っているとされています。

内部モデル形成

では内部モデルはどの様にして、形成されていくのでしょうか。

人は、何か新しいことを始めた場合、その動作は無駄な動きが多く、不必要な筋活動が行われていたりとイメージとはかけ離れた動きをしてしまうことがあります。

この「誤差」が生じている際に小脳は重要な役割を果たしています。

新しい動作を始めた、試行錯誤の際に生じる「予測」と「結果」の差(誤差)はその動作を繰り返し行うことで運動の誤差の修正(フィードバック誤差学習)が行われます。

学習初期の神経経路と機能

意図した運動の予測と実際の運動結果の誤差を小脳が検出⇨その誤差を大脳皮質が修正⇨末梢へ運動指令を送ることで運動の精度やスキルが向上します。

これには小脳の長期抑圧機能が関与しています。

運動指令は大脳皮質脊髄路から脊髄運動細胞へ送られ、筋を収縮させ運動を起こします。

この運動指令は即座にコピーが作成され、小脳の苔上線維を通じて小脳皮質の平行線位へ入力されます。

長期抑圧機能:運動に関係する記憶の形成には、小脳のプルキンエ細胞とそこに入力する平行線維との間のシナプスにおいて、シナプス伝達効率が長期にわたって低下することが極めて重要であることが明らかにされており、このシナプス可塑性のことを長期抑圧と言います。

この長期抑圧は小脳における運動学習の根幹とされており、このプロセスによって、小脳内に運動記憶・痕跡(内部モデル)が作られると考えられています。

 

 

 

慣れてきて、運動が自動化してきた際には、フィードフォワード制御を用いることによって運動が円滑に、無意識に行われる様になっていきます。

順モデルと逆モデル

順モデルとは、モデリングの対象となるダイ ナミカルシステムと同じ入出力の方向性をもち、同じ入出力変換を実現するものである。

例えば、腕や 眼球などの運動制御の対象は、筋肉の張力などの運動指令を受け取って運動軌道(腕や眼球の動き)を 実現するが、それと同じ入出力特性をもつモデルを身体の順モデルと呼ぶ。

順モデル:運動指令の遠心性コピーと身体からの感覚情報から現在の状態を予測し、運動指令の結果の状態として、視覚や固有感覚によって得られる感覚フィードバックを予測する。

逆モデル:望ましい運動軌道からそれを実現するために必要な運動指令を予測すること。

運動軌道が入力されるとそれを実現するために必要な運動指令を計算し、その入出力特性は制御対象の入出力特性のちょうど逆になっている ので、逆モデルと制御対象とを直列につなぐと恒等写像になる。このシステムに目標軌道を入力すると、 実現される軌道は目標軌道と同じになる。つまり、逆モデルはフィードバック情報を使わない前向き制 御のための理想的な制御器になっている。

内部モデルの学習は、モデリングの対象が外界にあり、例えば順モデルの学習では誤差信号が 内部モデルによる推定と実際の感覚フィードバックの差として簡単に計算できるので、まさに教師あり 学習に適している。

逆モデルは、目標軌道を受け取って、正しい運動指令を出力しなければならない。

もし、脳に正しい運動指令を計算する他の部位があれば、それを教師の情報として使って逆モデルを獲 得することができる。ところが、そもそも脳に正しい運動指令を計算する機構は存在しない。

つまり、逆モデルを獲得するために脳は、運動をおこなった結果得られる運動軌道の空間での誤差を、運動指令の空間の誤差に変換するという複雑な役割を担っていると考えられています。

フィードバック誤差学習理論は、登上線維入力が、フィードバック運動指令を伝えることによって、 そのような運動指令の誤差信号を提供しているとされています。

ある研究によると、

サルの追従眼球運動中に、小脳腹側傍片葉のプルキンエ細胞が特徴的なスパイクの列を発生させる。そのスパイク発火頻 度変化の時間波形がフィードバック誤差学習理論の予測とよく一致したとしています。

今回参考にした文献、書籍は以下の通りです。

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