脳画像を見る 視床編

脳の解剖と機能について紹介します。

脳画像を見る 視床編

視床

第3脳室の両脇にある約3××1.5cmの卵形の神経細胞群のことを言います。

視床は均一の細胞が集まったものではなく、独自の機能を有しており、独自の求心路と遠心路を持つさまざまな神経核が集合したものです。
また、視床は視床上部や視床下部とともに間脳の一部とされます。

視床は内側髄板により4つの神経核に分けられます。他書では3群に分けるものもありますが、ここでは4群とします。

  • 前核群
  • 外側核群
  • 内側核群
  • 視床後部

視床の血管支配

視床の血管支配は、

  • 後交通動脈から分枝した視床灰白隆起動脈
  • 後大脳動脈から分枝した視床穿通動脈、視床膝状体動脈、外側・内側後脈絡叢動脈

によって支配されています。
視床穿通動脈は、視床に血液を供給し、内包後脚の一部に達することがあります。

視床放線と内包

視床から大脳皮質へ情報が投射される際の通路は視床脚(視床放線)と呼ばれ、内包を上行します。

  • 前視床脚:内包前脚を通り、前頭前皮質と帯状回に達します。
  • 上視床脚:内包後脚を経由して、運動前野、運動野、体性感覚野に投射します。
  • 後視床脚:内包のレンズ後部を経由して、後頭葉、頭頂葉、側頭葉の後半部に至ります。
  • 下視床脚:レンズ核の底面を通り、側頭葉前半部や前頭葉の眼窩面皮質に至ります。

視床出血では、内包まで血腫が及んでいる例を多く経験します。この場合、視床だけでなく、血腫の進展方向により、臨床症状が異なってきます。

視床の脳画像を見るポイント

視床の脳画像を見る際に確認したいポイントは

 

  1. どのレベルで損傷されているか。
  2. どの視床核が損傷していそうか。
  3. その核から末梢への投射、大脳皮質への投射を血腫の進展方向からイメージする。
  4. 水平断だけでなく、前額断を確認する。

視床核

今回参考にした文献、書籍は以下の通りです。

これらは私がすごく愛用しているもので、絵もこれらのものを参考にさせていただいて書いています。ぜひ購入して一緒に勉強していきましょう!

 

求心路遠心路機能
中継核後外側腹側核(VPL)内側毛体、脊髄視床路、一次体性感覚野一次体性感覚野上下肢・体幹の感覚(触覚・深部覚、温痛覚)、平衡機能
後内側腹側核(VPM)三叉神経、孤束核、一次体性感覚野一次体性感覚野、味覚野顔面の感覚、味覚
視床腹中間核(Vim)小脳核、前庭神経核
一次運動野、頭頂葉、島皮質平衡機能(視床性失立症、Latero pulsion)
外側膝状態(LG)視索、一次視覚野一次視覚野視覚
内側膝状体(MG)下丘、一次聴覚野一次聴覚野聴覚
前腹側核(VA)黒質網様部、淡蒼球内節、前頭前野前頭前野運動プログラム、姿勢制御
大脳皮質ー基底核ループ、眼球運動ループ、前頭前野ループに関与
外腹側核(VL)黒質網様部、淡蒼球内節、小脳核一次運動野、前頭前野精緻運動
大脳-小脳神経回路⇨小脳症状
大脳皮質–基底核ループの中継核
連合核背内側核(MD)扁桃体、黒質網腰部、淡蒼球腹側、前頭前野前頭前野眼球運動や空間注意⇨背側前頭前野
ワーキングメモリー⇨背外側前頭前野
報酬や価値評価⇨内側前頭前野
大脳皮質–基底核ループ、眼球運動ループ、前頭前野ループ、辺縁系ループ
後外側核(LP)上丘、頭頂連合野頭頂連合野空間認知、平衡機能
視床枕(Pul)視蓋全域、上丘、後頭連合野頭頂、後頭、側頭連合野一次体性感覚野、聴覚野、視覚野に囲まれ、これらを統合する役割を持つと考えられている。
辺縁系核前核群(A)乳頭体、帯状回、海馬台帯状回、海馬台記憶
本能や情動と関連する大脳辺縁系に関与
背外側核(LD)視蓋全域、帯状回、海馬台帯状回、海馬台記憶、空間認知
その他髄板内核群(IL)、正中中心核(CM)、束傍核(PF)運動野、小脳、淡蒼球、脊髄、脳幹網様体一次運動野、頭頂連合野、線条体覚醒の維持、眼球運動、痛みの情動や、認知、不快感や不安感などの感情
視床網様核(TR)視床皮質路、皮質視床路他の神経核覚醒、睡眠など意識、注意に関与
視床核の情報処理、視床から大脳皮質への情報伝達
後核群(PO)脊髄視床路、三叉神経視床路、上丘、体性感覚野島皮質とその尾側領域
視床上部松果体:概日リズムを調節するホルモンやメラトニンの分泌
視床髄条、手綱:嗅覚に関する中継点
視床下部第3脳室底、漏斗、乳頭体、下垂体後葉
食・飲水行動の調節
ホルモン、内分泌調節
血管収縮・拡張、体温調節、覚醒、睡眠に関与
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