脳画像の診方②

脳の解剖と機能について紹介します。

脳画像の診方②

脳画像を診る意義

リハビリに役立てる脳画像読影

脳血管障害患者のリハビリテーションでは医師だけでなく、セラピストも脳画像を読影し、
そこからどのような症状が生じうるのかを把握することが大切であると言われています。
職場の中には脳画像をあまり見ずに患者の評価、治療にあたってる方も少なくないと思います。
それでいいと思う方もいるかも知れませんが、私は誰かの大切な家族を診させていただいている限り、
全力でリハビリテーションを行いたいし、その方のQOLが高い生活であってほしい。
そのためにも脳卒中患者のリハビリテーションでは脳画像読影が重要であると考えています。

機能障害・残存機能を予測できる。

脳画像の読影ができなくても、患者様の機能を適切に評価できれば問題ないという方もいるかも知れません。
確かに被殻出血や中大脳動脈領域の脳梗塞では脳卒中患者の中には「片麻痺+優位半球の症状」や
「片麻痺+劣位半球の症状(半側空間無視、プッシャー症候群)」など典型的な症状を呈する方が多く、
脳画像から症状を予測しなくても、一般的な評価項目を適応し、機能障害の把握が可能なこともあります。

しかし、梗塞巣や出血量は一人ひとり違いますし、多くの患者と異なる脳損傷領域を認める場合や多数かつ、
広範な損傷をもつ患者様の評価を行う際には、脳画像を読み取り、予め機能障害や残存機能を予測し評価項目を選定することができます。
一般的に回復期病院のリハビリテーションは1日9単位(1単位20分)という短い時間で行わなければいけないため、時間が限られています。
脳画像を見ていれば予測でき、評価項目を選定できたものを、ないがしろにしてしまうことで
患者様の機能障害や残存機能を見逃し、回復の見込みがあるものに蓋をしてしまう可能性があります。
患者様の治療をより良いものにするためには評価が重要で、能障害や残存機能を予測し、評価の選択をするために
脳画像が大いに役に立つのです。

予後予測に役に立つ。

予後予測は患者様の退院後の生活を決定する重要な因子になります。

上記には脳画像を診ることで損傷領域が把握でき、機能障害や残存機能を予測できることを記載しました。
それに加えて病巣の程度によってその症状が回復しそうなものなのか、回復が乏しいものなのかといった予後の予測も可能になります。
また残存機能を予測することで、障害された機能が代償できるものなのか、どの程度の障害は残るかといった予測が可能になります。
脳画像を診ないことで回復の見込みが合った障害を低めに設定してしまうと治療もそれに向けて行われていきます
本当にその得られた機能や能力が患者様の限界でしたか?
もっとできたことが合ったんじゃないですか?
適切な予後予測をしなければ患者様の人生を悪くしてしまうことが往々にしてあるのです。
このようなことを起こさないためにも脳画像の読影が非常に重要なのです。

 

治療選択に役に立つ

上記に記載したように予後予測から治療を選択する上で大切になるのは優先順位と訓練の量です。
適切な予後予測と評価を行うことで、訓練の優先順位とどの程度の量を行っていくのか、学習を強化するにはどの手段が有効か、
代償方法は何がいいかなどの決定の一助になります。
脳卒中患者で歩行獲得を目指した場合、長下肢装具装着下での歩行訓練を行うことがあります。
長下肢装具での歩行を行う際に、ターゲットとする筋や神経はなにか、どれくらいの量が確保できればいいのか。
明確な目的を持った治療を行うために脳画像の読影が非常に重要なのです。

家族への情報共有に役立つ

ご家族様は大切な家族が病気によって今まで通りの生活ができなくなってしまうことや介護に対する不安など
様々な悩みを抱えています。
上記に記載したように機能障害や残存機能の予測、実際に評価をして予後を予測し
どの程度回復するのか、退院後の注意点や必要な介護・介助はどのようなものがあるのか
ご家族へ情報を提供することで、ゴールの設定や退院後の生活イメージがつきやすくなります。

まとめ

  • 脳損傷による機能障害・残存機能を予測できる
  • 適切な評価項目の選択でき、評価時間を短縮できる。
  • 予後予測に役に立つ。
  • 治療選択・優先順位の決定に役に立つ。
  • 家族への情報共有の一助となる。

次回はスライスごとの診方について説明していきたいと思います。

参考文献
酒向正春,大村優慈,リハに役立つ脳画像 第6版,株式会社メジカルビュー社,2017年

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