小脳を極める! 機能と小脳症状

脳の解剖と機能について紹介します。

小脳を極める! 機能と小脳症状

小脳の機能と小脳症状

小脳の機能を理解するために、3つの基本を理解しておきましょう!

  1. 小脳には固有知覚などの一般的な知覚や特殊な感覚など膨大な感覚情報が入力されるが、これらを意識のレベルに達する程度に受け止めたり、近くを細かく区別する過程には関与していない。
  2. 小脳は運動機能には関与するが、小脳が障害されたとしても麻痺は生じない。
  3. 小脳は何かを認識したり理解する過程には関与していないが、運動機能を学習したり、記憶する際に重要な役割を果たしている。

小脳の大まかな機能

  • 平衡機能
  • 筋緊張の調節
  • 巧緻動作、動作の協調性

前庭小脳

機能

頭部の位置と運動に関与する情報を伝えている前庭器官からのインパルスを受け取り、身体の平衡機能を司る。

これにより身体がどのような位置でも、どのような動きでもうまく身体の平衡を保つことができる。

シナプス結合

前庭小脳は前庭器官からインパルスが直接、あるいは前庭核を介して間接的に前庭小脳皮質へ到達、そこからさらに歯状核へ至る。

前庭小脳皮質からはインパルスを前庭核へ戻しており、さらに網様体へもインパルスを送る。

前庭核、網様体からはそれぞれ前庭脊髄路と網様体脊髄路、内側縦側が脳幹へと向かい、さらに脊髄へと向かっており、眼球運動と脊髄による運動機能をコントロールしている。

上記の反射回路は、立位、歩行などの安定性や眼球運動の位置の安定化に役立っています。

前庭小脳の障害

前庭小脳、あるいは歯状核が損傷されると重力下で人は方向性を保てなくなり、頭を動かした際に静止している物体を見続ける(注視する)ことができなくなります。

平衡失調

真っ直ぐ立てなくなる(失立症、起立保持不能(astasia))

うまく歩けなくなる(失歩、歩行不能(abasia))

足を広げて歩く大殿歩行や酔っ払いの様にふらふらとする酩酊歩行など(躯幹失調truncul ataxia)

踵とつま先をくっつけてバランスを保つ(タンデム肢位)ことができなくなる

などが挙げられます。

この不安定性は固有知覚が意識レベルに到達しないことが原因ではなく、重力に対して筋緊張のコントロールがうまく協調して行えなくなることが原因と考えられています。

眼球運動障害・眼振

小脳が障害された際の眼球運動障害の症状は

静止している物体や動いている物体を注視できなくなる(片葉、傍片葉の病変)があります。

この結果

衝動性追従運動(サッケード):患者に動いているものを眼で追いかける様指示すると、眼球は滑らかではなく角張ったような動きをする。この眼球の衝動的な動きの振幅が異常に大きなものとなる。

注視誘発性眼振:患者に何かを注視させると、眼振が見られること。小脳病変がある側に眼球が動いた際により顕著に見られる。

眼振とは、眼球が痙攣したように動いたり揺れたりすることで、意識で規則的にリズミカルに動いたり、振り子のように往復運動がおこったりします。

 

正常では、新しい対象物が視野に入ると,動物は目と頭を対象物に向けます。これをサッケードと言います。

その動きを追跡することを滑動性眼球運動といい、網膜中心窩上に視標的を保持します。

これらの眼球や頭部運動のために,中枢神経系は視覚情報に基づいて,眼球と頭部の動きを調節する運動指令を発令します。

前庭小脳が障害された場合、これができなくなります。

 

 

今回参考にした文献、書籍は以下の通りです。

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