前頭葉の解剖と機能

前頭葉
前頭葉は中心溝より前部を指します。
上下の前頭溝により、上中下の3つの前頭回に分けられ、さらに外側溝から上方に伸びる短い前枝と上行枝により、下前頭回は眼窩部、三角野(45野)、弁蓋部(44野)に分けられます。
中心前回
前頭葉の後方を縦に走る中心前溝と中心溝の間の脳回を中心前回といい、ここに一次運動野(4野)があります。
一次運動野の直前に運動前野(6野)があり、大脳半球内側面では補足運動野が続きます。
運動前野は視覚情報など外界からの情報を元に適切な一連の動作を準備することを担っています。
補足運動野は自発的に一連の動作をプログラムすることを担っています。
補足運動野によって引き起こされる運動は、体幹や四肢の近位筋の運動を含み、姿勢に大きく関与します。
補足運動野の損傷では、自発的な運動の開始を困難にしたり、意図しない運動の発現をもたらします。
また両手の強調動作にも重篤な障害をもたらします。
前頭前野
運動前野の直前に前頭前野(8野)があり、ここは両側の眼球の意識的な共同運動のコントロールに関与します。
一側の前頭前野が損傷されると、左右の眼球がともに損傷側に向かって偏位します。
前頭前野の最吻足部には前頭前野(9野、46野)があります。
前頭前野は主に、認識、計画、判断、予測などといった高次脳機能に関与します。
有名な話では、「もはや彼はゲイジではない」がありますよね。
ゲイジは元々優しく穏やかな性格でしたが、仕事中の事故で彼の前頭葉に鉄の棒が刺さってしまいました。
一命を取り止めたものの、その後の彼は、無責任で怒りっぽくなり、仕事の計画も立てられなくなってしまいました。
その後彼はその職場を解雇されてしまいました。
このように前頭葉の障害では、仕事や生活に必要な能力が障害されてしまうため、脳機能障害の方の治療や介護にあたる際はしっかりと評価し、治療選択を立てていく必要があります。
前頭前野は解剖学的に的に背外側面、眼窩面、内側面(前帯状回)の3つに分けられます。
これらの各領域は異なる神経回路を形成しているため、それぞれ違った役割を担っています。
背外側前頭前野(8、9、10、45、46野)
背外側下部(10野、46野)は側頭葉から視覚、聴覚関連の「何」に関する情報を受けます。(What経路)
背外側部上部(8野、9野)は頭頂葉から体性感覚および、視覚・空間に関する「どこ」に関する情報を受けます。(Where経路)
これらは、空間およびワーキングメモリに関与すると考えられています。
この部位の障害では、注意集中、注意制御機能の低下、遂行機能・計画性・判断力の低下が生じます。
ワーキングメモリについては、過去の記事をご覧ください。
言語理解では特に、長文説においての理解に関わっており、長文理解はワーキングメモリを使い、前文を記憶にとどめ、整理しながら話を読み進めるといった処理過程を要します。
情動面の問題として、「我慢できなくなる(脱抑制)」、「興味や関心が乏しくなる(無関心)」などの情動面、精神面の問題が生じます。
今回参考にした文献、書籍は以下の通りです。
これらは私がすごく愛用しているもので、絵もこれらのものを参考にさせていただいて書いています。ぜひ購入して一緒に勉強していきましょう!